お歳暮を贈るときに知っておきたい「のし」の基本とマナー
2024年12月17日更新「のし」は贈り物の装飾の一つで、正式な贈答品には欠かせません。
その起源は、古くから贈り物に添えられてきた「のしあわび」という縁起物です。
現在では、謝意や敬意、礼儀や心のこもったフォーマルな贈り物であることを示す役割を果たします。
特にお歳暮では、のしを付けることで、感謝の気持ちを込めていると相手に伝えられます。
失礼のない贈り物をするためにも、のしに関するマナーを理解しておくことが大切です。
本記事では、お歳暮における「のし」の基本、のし紙の選び方や書き方、注意点などを詳しく解説します。
お歳暮における「のし」とは?
はじめに、日頃お世話になっている方々へ感謝の気持ちを伝える贈り物「お歳暮」における「のし」の役割、のし紙の基本構成をご紹介します。
「のし」の役割
日本の縁起物「のしあわび」を起源とする「のし」を添えると、幸運を願う意味を込められるため、より礼を感じさせる贈答品に仕上げられます。
現在は「のしあわび」の代わりに、印刷された「のし紙」を使用して「あなたに心から感謝しています」と謝礼を表すのが一般的です。
贈り手がどれだけ丁寧に気を配っているかを、のしによって示すことができ、形式だけではない重要な意味を持ちます。
のしがないと、贈り物の趣旨を戸惑わせてしまい失礼にあたる可能性が高いので、お歳暮を贈る際は必ず一緒に用意しましょう。
また、1つの贈り物に複数の意味を込めたのしを添えるのは無作法なため避けてください。
贈り物に2つ以上の意図がある場合は、のしの他にメッセージカードを同梱すると、しっかりと気持ちを伝えられます。
のし紙の基本構成
のし紙には「表書き」「名前」「水引」「のし」の4つの要素が含まれています。
これらの要素を丁寧に揃えることで、正式な贈答品としての体裁が整います。
表書き | のし紙の上部に明記する贈り物の目的のことお歳暮の場合は「御歳暮」または「お歳暮」と書く |
名前 | のし紙の下部に記載する贈り手の名前のこと送り主を相手に明確に示す |
水引 | のし紙の中央にある飾り紐のことお歳暮には紅白で5本の「蝶結び」が適している |
のし | のし紙の右上に配置される縁起物の印のこと贈り物にフォーマルさを加える |
お歳暮に適したデザインや書き方を心がけて用意すると失礼がなくなり、相手に好印象を与えられます。
お歳暮における「のし紙」の選び方
お歳暮に添える「のし紙」の選び方をご紹介します。
水引は紅白の「蝶結び」
使われる水引は贈り物の種類によって異なりますが、長く本数が多いほど立派とされています。
お歳暮には、縁起が良いとされる「5本」または「7本」の紅白の「蝶結び」を用いるのが一般的で、「5本」を用いることが特に多いです。
蝶結びは簡単に結び直せることから「何度も繰り返す」意味があり、お歳暮のような毎年の贈り物にはぴったりのデザインです。
一方「結び切り」は、繰り返したくない弔事や結婚などの特別な場面に使われるため、誤用しないよう細心の注意を払いましょう。
内のし・外のしの違い
のし紙のかけ方には「内のし」と「外のし」の2種類があります。
内のしは「控えめ・配送用」、外のしは「丁寧・直接手渡し用」として使い分けるのが一般的です。
内のし | のし紙を包装紙の内側に掛ける方法控えめな印象を与え、目立たせたくない場合に使われるのしが傷つきにくく配送に適している |
外のし | のし紙を包装紙の外側に掛ける方法贈り物の目的や感謝をしっかり伝えたい場合に使われる直接の手渡しに適している |
どちらも礼儀に反することはありませんが、地域によって慣習が違う可能性もあるため、相手や状況に応じた選択が重要です。
短冊のしを使ってもOK
のし紙は、贈り物の包装に対して小さすぎたり大きすぎたりせず、バランスが良いサイズを選びましょう。
通常ののしが大きすぎる場合には、のし紙を短冊状に細長くした略式の「短冊のし」を贈り物の右上に貼り添えます。
環境に配慮した、簡易包装を希望する場合にも利用されることが多いです。
お歳暮における「のし紙」の書き方
続いて「のし紙」の書き方を解説します。
表書きの書き方
表書きは、贈り物の目的や意図を明確にするため、のし紙の上部に記載します。
基本的にお歳暮の表書きは「御歳暮」または「お歳暮」が適切です。
明記することで、年末の感謝の気持ちの贈答品だと一目で分かります。
今回限りの贈答の場合は「御礼」「粗品」、何らかの事情で発送が遅れた場合は「お年賀」「御年賀」「寒中御見舞い」などの表書きを使うこともあります。
名前の書き方(名入れ)
名入れは必須ではありませんが、相手への心遣いや礼、配慮を示すマナーとして推奨されています。
特にビジネスシーンや目上の方への贈り物では、名入れを行うのが一般的です。
贈り主が個人か複数か、また立場や関係性によっても作法は異なるため、正しく書くと丁寧でわかりやすい印象を相手に与えられます。
それでは、詳しくみていきましょう。
個人で贈る場合
個人でお歳暮を贈る場合、のし紙の下部に、表書きよりやや小さめに自分の名前を記載します。
しっかりフルネームを書くのが基本ですが、目下の人に贈る場合には苗字のみ記載することもあります。
連名で贈る場合
連名の場合は目上の人から順に、向かって右側から、中心が表書きの真下にくるように記載すると綺麗です。
一般的に名入れは3名までとされており、4名以上の場合は「◯◯一同」や「有志一同」、代表者がいる場合は代表者1名の名前を中央に書き、左下に「他一同」と書くこともあります。
4名以上で贈る場合は、全員の名前を記した紙を贈り物の中に入れましょう。
夫婦で贈る場合
夫婦で贈る場合は一般的に、夫の名前を右、妻の名前を左側に書きます。
同姓の苗字は、真ん中もしくは夫側に書き、1人分省略します。
親しい間柄の相手であれば「山田夫妻」などの略式明記が可能で、フルネームでなくても失礼にはあたりません。
法人で贈る場合
法人名義での贈答は法人名だけでよい場合もありますが、より丁寧な印象を与えるためには代表者のフルネームを加筆するのがおすすめです。
代表者名を中央に、右側に小さめの文字で会社名を書き、場合によっては、代表者の肩書きを添えることもあります。
名入れの注意点
名入れの文字は、表書きよりもやや小さめに、毛筆や筆ペンで丁寧に書くのがマナーです。
黒字で力強く書くことで、誠実さや感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
文字はあまり小さくなりすぎないようにし、バランス良く配置することを意識しましょう。
また、表書きや名前はのし紙の中央に整え、水引の中心に沿って一直線にすることが基本です。
のしを活用した印象的な贈り方
のし紙をアレンジすると、感謝の気持ちをさらに印象的に伝えることができます。
相手の好みや趣味に合わせて選ぶのも一つの方法で、最近では、伝統的なデザインからカラフルなものまで種類が豊富です。
ただし、あまり派手すぎるデザインや伝統を損なうのし紙は避け、上品さを保ちましょう。
のしに手書きのメッセージを添えると、贈り物がより温かみのあるものになります。
相手やシーンに合わせたさりげない工夫がお歳暮をさらに特別にし、印象に残る贈り物にできます。
のしを使う際に気を付けるべきポイント
のしは日本の伝統的な贈答文化であり、古くから人と人との繋がりを深める大切な役割を果たしてきました。
慣習やしきたりは地域によって異なるため、のしのデザインや水引の色に厳格な決まりがある場合もあり、礼を欠かないよう配慮が必要です。
贈り物をする際には、相手の地域の習慣を事前に確認しましょう。
また、相手があまり形式にこだわらない性格や立場の場合には、のしをシンプルなデザインにしたり、あえて省略したりする選択肢もあります。
相手の文化的な慣習や背景を尊重することで、思いやりや気遣いがより丁寧に伝わり、贈り物の価値がさらに高まります。
お歳暮は感謝の気持ちを伝える儀礼であり、自分や相手が喪中でも贈ること自体に問題はありません。
ただし、お祝いの意味が込められた水引やのしの使用は避けるべきで、白無地の奉書紙や短冊への表書きと名入れが適切です。
まとめ
本記事では、お歳暮における「のし」の基本、のし紙の選び方や書き方、注意点などを紹介しました。
正しいのし使いのお歳暮の贈答は、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちをしっかりと伝える手段です。
手書きメッセージや相手の好みに合わせたのし紙の選定など、礼儀を守りつつ、さりげないアレンジを加えた心のこもった贈り物は、今後の良好な関係に繋がります。